辞書を読む生活

生活:社会に順応しつつ、何かを考えたり行動したりして生きていくこと(新明解国語辞典)

国語辞典比較:断つのか、絶つのか。

「断つ」なのか「絶つ」なのか、

使い分けに自信がないから、いつも辞書を引くんだが…

 

岩波国語辞典 8版

①続いてきた物事を絶やす。[絶・断](ア)つながりをなくする。縁を切る。「望みを―」「酒を―」…

②物を幾つかに切り放す。[断・截]…

★そもそも漢字の区別をしていないので、これでは区別がつかない★

 

新明解国語辞典 8版

一【断つ】刃物を使って、…

★これは関係ない★

二【絶つ】続いて(つながって)いるものを、そこでぶつりと切る。「行くえを―〔=行くえが分からなくなる〕」「交わりを―〔=絶交する〕」「酒を―〔=やめる〕」「退路を―〔=さえぎる〕」「悪を―〔=すっかり滅ぼす〕」「命を―〔=(a)自殺する(b)殺す〕」

★分かりやすいが、これだとほとんど「絶」になってしまいそう★

 

明鏡国語辞典 3版

①つながっている物を切り離す。断ちきる。切断する。

「一刀のもとに縄を断つ」「快刀乱麻を断つ…」「頼みの綱が断たれる」

「断」が一般的だが、「韋編三度絶つ」「琴の緒を絶つ」などの慣用もある。

★とか言われても、意味分からん★

②[断]つながりや連絡のあるものをさえぎって通わなくする。断ちきる。

「電線を切断して電源を断つ」「退路[通信網]を断つ」「遮音壁で騒音を断つ」

「ふたをして臭いを断つ」

★例が多いのは役に立つけれど…★

③[断・絶]これまで続いてきた物事を終わらせる。断ちきる。

★以下、例が8つあるけど、《断ちきる》が②と一緒だし、断でも絶でもいいとか言うし、多言を弄するばかりで要領を得ず、区別するには役に立たん★

[書き分け]「交際[筆]を断つ/絶つは、一時的か永続的かで「思うところがあって一時交際[筆]を断つ]「生涯を通じて交際[筆]を絶つ」などと使い分ける。…

★一時的だと「断つ」、永続的だと「絶つ」って、なぜ? 根拠が示されていない★

 

三省堂国語辞典 8版

たつ[断つ]①ものを切りはなす。「快刀乱麻を―」②断ち物をする。やめる。「酒を―」③さえぎる「退路を―」

たつ「絶つ]①なくす。「音信を―・消息を―・望みを―」②つながりをなくす。〔交際を〕やめる。「縁を―・まじわりを―」③終わらせる「命を―」

★「明鏡」より要領よくまとまっているけれど、いまひとつ不明瞭★

 

旺文社国語辞典 11版

[使い分け]断つ・絶つ

「断つ」は、形あるものの場合に多く用いて、続いているものを途中で切る意を表し、「退路を断つ」「食を断つ」「思いを断つ」などと使われる。

「絶つ」は、形のないものの場合に多く用いて、続いているものをそれ以上は続けない意を表し、「交際を絶つ」「命を絶つ」「消息を絶つ」などと使われる。

★明確に分けてはいるが、ポイントが「形」だとはちょっと思えない★

 

角川必携国語辞典 5版

一【断つ】①続いているものを切りはなす・「くさりを―」「⇒快刀乱麻を―」「雑念を―」「後続を―」②それまで続いていたことを一時的にやめる。「酒を―(←断酒)」「茶を―」「食を―(←断食)」③さえぎる「退路を―」

二【絶つ】①つながりや関係を切る。「縁を―(←絶縁)」②とぎれさせる。「交際を―(←絶交)」②とぎれさせる。「消息を―」「望みを―(←絶望)」③おわらせる。「命を―(←絶命)」「あとを絶たない」

★これは分かりやすい★

 

そして、ダークホース。

学研現代標準漢和辞典 改訂4版

【断つ】つながっていたものを切り離す。やめる。[例]退路を断つ。国交を断(絶)つ。関係を断(絶)つ。快刀乱麻を断つ。酒を断つ。

【絶つ】続くはずのものを途中で切る。途絶える。[例]縁を絶つ。命を絶つ。消息を絶つ。最後の望みが絶たれる。交通事故が後を絶たない。

[参考]「国交をたつ」や「関係をたつ」については、「つながっていたものを切り離す」意で「断」を当てるが、「続くはずのものを途中で切る」という視点から捉えて、「絶」を当てることもできる。

★なるほど! これは説得力ある★

 

「学研現代標準漢和辞典」、なかなかやる。

最近の学研の辞書は、ネーミングがパクリっぽくてイケてないのが多い印象だけど、

この漢和辞典は「日本語を読み書きするための辞典」として優れていると思う。