なんだか、ろくでもない辞書が世に流布している気がするので、売れていようがいまいが、「いい辞書」を、世界の片隅から主張しておく(◎印)。
「×」は、すすめている人がいるけどダメな辞書。
それぞれ、理由の詳細は、過去記事をご覧あられませ。
【中学受験生】
1.国語辞典:中学受験から高校初級まで使えるもの
◎旺文社標準国語辞典(旺文社)8版
◎学研現代標準国語辞典(学研)4版
×ベネッセ新修国語辞典(ベネッセ)2版:某有名進学塾の先生がすすめているという話だが、理由が全く分からない。取り立てて良いところはない。
×例解新国語辞典(三省堂)10版:分厚く見えるが、薄い学研と頁数は変わらない(紙が厚いだけ)。役立つ情報の量は学研の方が多い。しかも、語釈がやさしくない――たとえば「生活」の語釈は、「日々の糧(かて)を得ながら、それぞれの環境の中で生きていくこと」。「糧」は常用漢字(中学で習う漢字)だが、「かて」という読みを文科省は高校に割り当てている。ふりがなを付ければいいってもんじゃないだろう。どこが「中学生向け」なのか。
2.漢和辞典:中学受験から高校まで使えるもの(現代語用)
◎学研現代標準漢和辞典(学研)4版
×ベネッセ新修漢和辞典(ベネッセ)2版:厚さは学研と同じくらいだが、頁数は25%減。その分情報量が少ない。たとえば「表」の項目で、学研は「表す・現す・著す」「表(おもて)・面(おもて)」を比較しているが、ベネッセは「表・面」の比較を小さく載せているだけ。
×例解新漢和辞典(三省堂)5版:「中学生用ナンバーワン」と謳っているが、学研のより分厚いのにもかかわらず頁数は少なく、情報量が少ない。
×新字源(角川)、新漢語林(大修館)、漢辞海(三省堂)等ほとんどの漢和辞典:(高校生以上の)漢文読解のための辞書。ただし、漢文読解に辞書が必要かというと…
【中学生】
3.英和辞典:中学生向け(高校初級まで使えるもの)
×Challenge中学英和辞典(ベネッセ)2版:自動詞と他動詞を区別しないナンセンス。使えば英語ができなくなること請け合い。絶対に使ってはいけない。
×ジュニアクラウン中学英和辞典(三省堂)14版:上に同じ。絶対に使ってはいけない。
【高校生】
4.国語辞典:高校生向け
◎ベネッセ表現読解国語辞典(ベネッセ)
×現代新国語辞典(三省堂)6版:高校生用と銘打っているが、新語が載ってりゃいいってもんじゃない。むしろ、新語を理解できないのは年寄りだろう。評論に出てくるキーワードも、あればいいってわけじゃない。たとえば「疎外」の語釈はわずか3行。ほんとに高校生向けにしたかったら、彼らにとって分かりにくいこういう抽象概念は、詳しく説明しないといけない。ベネッセの「表現読解」は、「疎外」に見開き2頁を使っている。
×現代新国語辞典(学研)6版:名前をパクって尻馬に乗ろうとしているのが見えみえ。特段いいところなし。
×現代国語例解辞典(小学館)5版:類義語の使い分けを表にしているのが、高校生向けだっていう売りだけれど、たとえば「そがい」関連の表は、「阻害」と「阻止」の比較しかなく、「疎外」がなくてトンチンカン。そして肝心の「疎外」の語釈は、3行しかない。それにしても、4版まで2色刷だったのに、なぜ5版は単色刷にしちゃったの? コスト削減以外に理由は思いつかないけど、自殺行為。
×旺文社国語辞典(旺文社)11版:同じ旺文社でも、むしろ「標準国語辞典」の方が優れている。
× 新選国語辞典(小学館)、角川必携国語辞典(角川):今や何の特徴もなく、一般用としても存在価値がない。
5.古語辞典:高校生向け
◎全訳古語例解辞典《コンパクト版》(小学館)3版
6.英和辞典:高校生向け
◎オーレックス英和辞典(旺文社)2版
×ジーニアス英和辞典(大修館)5版:用例が実用的でない。
×コンパスローズ英和辞典(研究社):用例が実用的でなく、少ない。